原題:Piano to Zanskar/撮影地:インド/製作国:イギリス
監督:ミハウ・スリマ
ロンドンでピアノ修理工を営むデズモンドは、 ヒマラヤ高地の村にピアノを運びたいという顧客の要望に興味を持った。 「歴史上もっとも高い所にピアノを届けたい」と、2人の助手を従えてインドに渡航。 ピアノを分解し、ヤクの背に乗せて運ぶという算段を立てた。 しかしヤクは、彼が想像していたよりも小さく、2つの部品は男たちが抱えて運ばなければならなかった。 急斜面を滑り落ちるように部品を運び、3日かけてザンスカールのリンシェ村までピアノを運んだ。 梱包は剥がれ、押したり転がしたりして運んだピアノは「最悪」と言えるほどに損傷。 命運はデズモンドの修理に託された。関わった人たちの岐路となった、 1台のピアノをめぐる物語がここにある。
鑑賞日:3月2日
時間:15時
年制作:2018
作品時間:86分
ザンスカールがあるのは、インド最北部のラダック地方。 ヒマラヤ山脈やカラコルム山脈に囲まれた山岳地帯のため、 陸路が使えるのは夏の数カ月のみ。道路事情も悪く、車が通れる道は限られています。 住民は何日もかけて、崩落の危険がある山道を歩いて移動。 荷運びでは、今もラバやヤクなどの動物が活躍しています。 ラダックの都市、レーとカシミールのジャンムーを結ぶ道路建設も進行しており、 この映画の舞台となったリンシェ村にも、いつかは道路が開通する日が来るでしょう。 しかし、閉ざされた秘境で自然とともに暮らしてきた住民の美しい魂に、 ピアノの音色を届けたいという思いこそが、このプロジェクトを実現させたといえるでしょう。
◆株式会社アジアンドキュメンタリーズ 代表取締役社長 兼 編集責任者◆
2018年8月に動画配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」を立ち上げて以来、 ドキュメンタリー映画のキュレーターとして、 独自の視点でアジアの社会問題に鋭く斬り込む作品を日本に配信。 ドキュメンタリー作家としては、映文連アワードグランプリ、 ギャラクシー賞などの受賞実績がある。
ヒマラヤに響け、奇跡のピアノ
絶壁を越えて、音楽の旅
ピアノと共に、限界へ挑む