原題:It's a Wrap/撮影地:イスラエル/製作国:イスラエル
監督:アミット・ミラー、ミリ・アーマン
ユダヤ人女性のミリは問題を抱えていた。癌に冒された母親・ハヤと同居を始めたものの、 ハヤは自分の人生に見切りをつけ、お別れの会を開くと言い始めた。 親戚や友人たちを招待するが、電話の向こうでは一様に「神から与えられた命を全うすべき」との反応が返ってくる。 ハヤはそんなことはお構いなしに、ミリに命じてスイスの安楽死団体への登録も済ませた。 結婚せず、女手一つで娘を育ててきた音楽家の母との、残りわずかな日々を惜しみながらも、 母の願いを叶えようと奔走するミリ。 家族以外の誰もが反対するお別れの会に、はたして人は集まるのか。 延命治療と人間の尊厳について、私たちに問いかける作品だ。
鑑賞日:6月15日
時間:15時
制作年:2022
作品時間:56分
病気の治癒が難しいと考えられる患者が、自らの意思で延命治療を行わずに死を迎えるのが「尊厳死」。 患者から延命治療中止の希望を受けた医師は、寿命を伸ばすための積極治療をやめ、苦痛を和らげるケアに切り替えます。 似た言葉に「安楽死」があり、こちらは治療の見込みがなくなった患者の希望により、医師が投薬などにより死に導く行為。 安楽死は日本の法律では「嘱託殺人」にあたり、罪に問われます。世界で初めて安楽死を合法化したのは2001年のオランダ。 以降はベルギーやカナダ、スペインなどでも認められ、近年合法化する国が増加しています。 スイスでは積極的安楽死は禁止されていますが、自殺幇助は合法。自殺幇助団体が存在し、登録者は1万人以上。 そのうち9割が外国人と言われています。
◆株式会社アジアンドキュメンタリーズ 代表取締役社長 兼 編集責任者◆
2018年8月に動画配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」を立ち上げて以来、 ドキュメンタリー映画のキュレーターとして、 独自の視点でアジアの社会問題に鋭く斬り込む作品を日本に配信。 ドキュメンタリー作家としては、映文連アワードグランプリ、 ギャラクシー賞などの受賞実績がある。
お別れを準備する母と、それを支える娘
命の終わりに、母と娘が選んだ答え
尊厳ある死とは何かを静かに問う