原題:Horse Tamer/撮影地:モンゴル/製作国:フランス
監督:ハミド・サルダール
ロシア国境に近いダルハト渓谷で“馬ならし”を生業とする男、 シュへルトの日々を追った作品。遊牧民たちは毎年一時期、馬を自然に戻し、 本能を取り戻させる。自然の状態に戻った荒れ馬を訓練して飼いならすのが、 馬ならしの仕事。彼が手懐けられなかった馬の多くは、持ち主に殺される運命だ。 シュへルトは遊牧と狩り、夏場は相撲の賞金で収入を得る。 最大の脅威は、国境を越えて侵入してくるトゥバの盗賊だ。 盗賊たちはシュへルトがいない間に、群ごと馬を盗んでいった。 愛馬を取り返すべく、雪の平原を一人行くシュへルト。 孤独なサバイバルのような捜索が始まった。馬への愛情と敬意が感じられ、 ヒューマニズムにあふれたドキュメンタリーだ。
鑑賞日:5月10日
時間:15時
年制作:2019
作品時間:86分
モンゴル語に「馬宝」という言葉があります。 古来より馬は国家の宝の一つとされていました。 モンゴル人にとって馬は単なる動物ではなく宝物。 人と馬との関係は、飼い主と家畜の関係で終わりません。 一番大切な友でもあるのです。 モンゴルとロシアの国境近くで暮らす遊牧民のダルハト部族は、 何世紀もの間、草原から山岳地帯への季節的な移動を半野生の馬に頼っていました。 特にオオカミから家畜を守るには、気性の荒い馬が重宝されました。 しかし近年は、ロシアからトゥバ族の泥棒が侵入し、 家畜の群れを盗んではロシアの食肉処理場で転売しています。 遊牧民は人からも馬を守らなければならないのです。
◆株式会社アジアンドキュメンタリーズ 代表取締役社長 兼 編集責任者◆
2018年8月に動画配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」を立ち上げて以来、 ドキュメンタリー映画のキュレーターとして、 独自の視点でアジアの社会問題に鋭く斬り込む作品を日本に配信。 ドキュメンタリー作家としては、映文連アワードグランプリ、 ギャラクシー賞などの受賞実績がある。
愛馬を追い、雪原をゆく男の話
命を懸けた馬との絆、孤独な旅路
馬を愛する男の、静かなる闘い