原題:Smog Town /撮影地:中国/製作国:中国、オランダ
監督:メン・ハン
中国で大気汚染ワースト都市に挙げられる廊坊市で、環境対策に取り組む人たちの苦悩を描いた作品。 市環境保護局の調査チーム主任、李春元はスモッグの削減に向けて官民一体の取り組みを提唱する。 汚染物質を排出する中小・零細企業を取り締まる一方で、地域経済の維持というジレンマに直面。 “青い空 澄んだ水” 計画を推し進める河北省の中で唯一後れを取った。 窮地に追い込まれた李は、市から鉄鋼業をなくすという非情な手段を筆頭に、徹底した石炭消費の削減に乗り出した。 しかし、市内にはガス管が敷設されていない地域が多く、住民たちの不満は募っていく。 大気汚染と戦う市民たちの悲哀を描いたヒューマンドキュメンタリーだ。
鑑賞日:7月5日
時間:15時
制作年:2019
作品時間:89分
中国では急速な工業化により大気の質が悪化しました。 当局が真剣に大気汚染対策に乗り出したのは2008年のことです。 2013年には北京で、世界保健機関(WHO)が推奨する基準値の40倍を上回るPM2.5の数値を検出。 この年、中国政府は最も厳しい大気汚染防止策を導入しました。 北京の大気汚染発生源は廊坊市のある河北省だといわれています。 中国最大の鉄鋼生産地域であり、北京に電力を供給するための火力発電所も林立。 特に冬場は暖房や発電のために多くの石炭が燃やされ、高濃度のスモッグが発生しやすい状態が続きます。 中国で石炭は身近な存在ですが、今や大気汚染の元凶として、使用禁止の対象にすらなっています。
◆株式会社アジアンドキュメンタリーズ 代表取締役社長 兼 編集責任者◆
2018年8月に動画配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」を立ち上げて以来、 ドキュメンタリー映画のキュレーターとして、 独自の視点でアジアの社会問題に鋭く斬り込む作品を日本に配信。 ドキュメンタリー作家としては、映文連アワードグランプリ、 ギャラクシー賞などの受賞実績がある。
廊坊の空を取り戻すために。
見えない汚染と闘う人々の記録。
経済か環境か。揺れる街の選択。