原題:SCRAP/撮影地:タイ、インド、韓国、アメリカ、イギリス、スペイン/製作国:カナダ
監督:ステイシー・テネンバウム
人類の発展を支えてきた物が、歳月の経過とともに役目を終える。 自動車、船舶、農機、電話ボックスなど、寿命を迎えて廃棄されたり、 時代の変化により必要とされなくなったりと、物はそれぞれに理由を抱えている。 朽ち果てて地に還るのを静かに待つ自動車、再生の道が開けた路面電車、新たな用途に姿を変える船など、 スクラップが辿る運命をカメラが追った。経済活動や繁栄を象徴してきた過去の物と、 私たちはこれからどう向き合い、それらをどう生かしていけるのだろうか。 テクノロジーの進歩の陰に、使い捨ててきた物がある。我々が持続可能な社会を追求する上で、 避けて通れない課題を突きつける作品だ。
鑑賞日:7月25日
時間:15時
制作年:2022
作品時間:77分
限りある資源を効率的に利用し、環境負荷を軽減する取り組みは、 修理やリフォームだけではありません。注目されているのが「アップサイクル」です。 身近な例では古着のリメイクや建築物のリノベーションがありますが、耐用年限を過ぎ、 老朽化した輸送機や機械など大型の金属製品もアップサイクルされています。 本作にも登場した、船舶の船底を教会の屋根にしたり、農機の部品でオブジェを製作したりといった、 本来の用途から新たな用途に生まれ変わる取り組みがそれにあたります。 アップサイクルが広がる一方で、静かに腐食していくのを待つだけのものや、 放置されたまま貧困者の住まいとなったものもあります。 世界の廃棄物は2025年に約190億トンと見込まれていますが、 2050年には270億トンに達するとの予測があります。
◆株式会社アジアンドキュメンタリーズ 代表取締役社長 兼 編集責任者◆
2018年8月に動画配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」を立ち上げて以来、 ドキュメンタリー映画のキュレーターとして、 独自の視点でアジアの社会問題に鋭く斬り込む作品を日本に配信。 ドキュメンタリー作家としては、映文連アワードグランプリ、 ギャラクシー賞などの受賞実績がある。