難民の通る村で

原題:The Good Postman/撮影地:ブルガリア/製作国:フィンランド・ブルガリア

監督:トニスラフ・フリストフ

トルコとの国境近くにあるブルガリアの小さな村で、村長選挙が行われた。 郵便配達夫で国境監視員のイヴァンは、村の活性化のためにシリア難民定住化を公約として村人を説いて回る。 対するは、無策だが家族や縁者の組織票を持つ現職のヴェサと、共産主義回帰とシリア人排斥を訴えるハラチェフ。 有権者数はわずか数十人、高齢者ばかりの村で論戦が繰り広げられた。 選挙後、イヴァンが難民救済のためにとった行動が、その後に起きた一つの悲劇と重なり合う。 ブルガリアは共産主義体制の崩壊後、極端に経済が縮小した。この作品は、 若者がいなくなった過疎の村で、地域の存亡を危ぶむ住民たちを追ったドキュメンタリーだ。

鑑賞日:4月13日

時間:15時

年制作:2016

作品時間:82分

予告編

豊かな国への「通り道」として難民が殺到

移民、難民にとってブルガリアはギリシャと並んで、 ドイツやスウェーデンへの「通り道」となっています。 シリア内戦とISISによるシリア侵略以降、大量の移民、難民が押し寄せていました。 2015年には、トルコからの流入を防ぐ目的で国境フェンスを強化。 密入国しようとしたアフガニスタン難民をブルガリア国境警備隊が射殺するという事件が起きました。 1989年以降、ソ連やユーゴスラビアの崩壊により貿易が減少。 経済改革の遅れもあって、ブルガリア経済は大幅に悪化しました。 こうした中、出生率は1.2まで減少。さらに旧西側諸国への移動が可能になり、 人口流出が加速。ブルガリアは、最も急速に人口減少が進む国といわれています。

難民の通る村で 伴野智

ファシリテーター

伴野智

◆株式会社アジアンドキュメンタリーズ 代表取締役社長 兼 編集責任者◆

2018年8月に動画配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」を立ち上げて以来、 ドキュメンタリー映画のキュレーターとして、 独自の視点でアジアの社会問題に鋭く斬り込む作品を日本に配信。 ドキュメンタリー作家としては、映文連アワードグランプリ、 ギャラクシー賞などの受賞実績がある。

quote

亡命難民を受け入れる村長選挙の闘い。
経済縮小と共産主義回帰が交錯する村。
若者がいない村で、未来を守るための戦い。

難民の通る村で 難民の通る村で