原題:Singing in the Wilderness/撮影地:中国/製作国:中国、アメリカ
監督:ドンナン・チェン
中国・雲南省の少数民族・ミャオ族の聖歌隊が、 商業主義に翻弄されながら民族のアイデンティティと信仰心を拠り所に生きてゆくさまを追った作品。 敬虔なクリスチャンとして神に歌を捧げる一方、 役人の指示に従い宗教色を排除した歌で人気を獲得していく。 知名度が上がり次第に豊かになっていくとともに、 村は一気に押し寄せる開発の波から逃れられなくなる。 土地を失い、報酬をめぐって信頼関係が揺らいだ。そんな苦境にあっても、 信仰心と歌は決して忘れることがないミャオ族。 しかしその陰で、失われてゆく伝統もあった。 民族として守るべきものは何なのか。ミャオ族の苦悩が、観る者の心に問いかける。
鑑賞日:5月3日
時間:15時
年制作:2021
作品時間:98分
中国南部の少数民族・ミャオ族は、大多数が山岳地帯に暮らしています。 元来は精霊信仰を持つ民族で、自然界の全てが畏敬の対象。 アミニズム、シャーマニズムに近い宗教を崇拝しています。 近代になって西欧の宣教活動により、雲南省のミャオ族の一部は、 集団でキリスト教に改宗。宗教音楽が、民族元来の歌や踊りの伝統と融合し、 音楽芸能として普及している地域もあります。 中国共産党は、国家樹立時から現在まで無神論を標榜していますが、 仏教、道教、イスラム教、プロテスタント、カトリックの5宗教を公式に許可。 一方で海外からの影響を極力排除し、国内での反政府の動きを抑えるため、 一部の宗教的活動や運動を禁止しています。
◆株式会社アジアンドキュメンタリーズ 代表取締役社長 兼 編集責任者◆
2018年8月に動画配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」を立ち上げて以来、 ドキュメンタリー映画のキュレーターとして、 独自の視点でアジアの社会問題に鋭く斬り込む作品を日本に配信。 ドキュメンタリー作家としては、映文連アワードグランプリ、 ギャラクシー賞などの受賞実績がある。
信仰と歌で生きるミャオ族の苦悩と誇り
失われゆく伝統、問われる民族の誇り
商業化の波に抗う聖歌隊の話