原題:The Last Tourist /撮影地:タイ、ペルー、ケニア、インド、カンボジア他/製作国:カナダ
監督:タイソン・サドラー
押し寄せる観光客、大量のごみ、労働力の搾取、 動物虐待……いま世界中で起きている“観光公害”の実態を映像に収めた作品。 1960年代に飛行機旅行が大衆化して以降、旅行者は世界中を旅することが可能になった。 その足は、古代遺跡や自然遺産などの有名スポットだけでなく、 先住民族が暮らす集落や信仰上の聖地などへも向かった。 観光客が求めるものはSNSに投稿するための写真と、西洋風の環境。異文化に触れることもなく、 資源を大量消費して、次の目的地に向かう。旅行会社は高額なパッケージを売るが、 観光地の労働者は薄給のままだ。外資が地元の経済と文化を侵食するだけの“観光バブル”は、 いまも拡大を続けている。成長を続ける観光産業の、負の側面に迫るドキュメンタリーだ。
鑑賞日:12月29日
時間:15時
年制作:2021
作品時間:101分
コロナ禍の収束以降、再び懸念されている観光公害(オーバーツーリズム)。 1950年に2500万人だった国際観光客は数十年間で爆発的に増え、 2017年には13億人を突破。国連世界観光機関(UNWTO)は、 2030年には18億人の観光客が国境を越えると予測しています。 観光は本来、その地域と周辺に社会的、文化的発展をもたらすものですが、 過度な混雑や観光客のマナーの悪さなどでマイナスの影響を及ぼす場合もあります。 途上国では観光業従事者の雇用条件が悪く、経済的恩恵を受けられていない現状も。 孤児院ボランティアツアーや動物ショーなど、 旅行者の満足のためだけに商品を売る旅行業者も後を絶ちません。 持続可能な観光とは何なのか、私たちの見識が問われています。
◆株式会社アジアンドキュメンタリーズ 代表取締役社長 兼 編集責任者◆
2018年8月に動画配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」を立ち上げて以来、 ドキュメンタリー映画のキュレーターとして、 独自の視点でアジアの社会問題に鋭く斬り込む作品を日本に配信。 ドキュメンタリー作家としては、映文連アワードグランプリ、 ギャラクシー賞などの受賞実績がある。
成長する観光業、その陰で起きる環境破壊。
SNSのために消費される文化と資源。
観光公害の現実に迫る衝撃のドキュメンタリー。