原題:Death and the Judge/撮影地:イラン/製作国:イラン
監督:ハッサン・カデミ
「囚人たちは私を恐れています。几帳面な私なら必ず正しい裁きを下すと分かっているから…」。
イランで45年にわたり裁判官を勤め、約4千人に死刑を宣告した男の日常。
彼の目下の悩みは、新築する自宅のローンが支払えるかどうかということ。
安定した裁判官の収入で暮らす家族は幸せそうだが、彼の半生には死の匂いがつきまとう。
貧しい家庭に育ち幼くして死に別れた兄弟と母、そして強盗に殺された父。
宗教国家イランで“神の名において”法を順守することに尽くしてきた男の、
「死」と向き合い続けてきた生き様から、法とは何か、死刑とは何か、人を裁くこととは何かを考える。
※本作品には一部のシーンで、犯罪に関する遺体や凄惨な映像が含まれます。
あらかじめご留意ください。特に12歳未満の方の視聴は、保護者の助言・指導が必要です。
鑑賞日:4月11日
時間:15時
制作年:2017
作品時間:54分
国際人権団体アムネスティがまとめた2019年版の報告書によると、 イランの死刑執行件数は中国に次ぐ世界第2位です。 宗教国家イランでは、イスラム教の法律である「シャリーア」によって裁かれます。 死刑と定められているのは、殺人、強姦、同性愛行為、麻薬の使用、麻薬の流通、武装強盗、 姦通などです。殺人罪では、「目には目を」といった報復が重視され、 被害者家族に刑罰の決定権が与えられます。また、姦通罪では「石打ちの刑」に処されます。 囚人が身動きできないよう下半身まで土に埋め、息絶えるまで石を投げつけるのです。 こうした残忍な刑は、国際社会から強い非難を浴びていますが、廃止される動きは見られません。 また、未成年者の死刑は世界で最多とされ、1990~2018年の間に、 18歳未満の少年97人の死刑執行が報告されています。本作は、イランの刑事裁判がどのように行われ、 裁判官がどのような判断で死刑を宣告しているのか、 その一端を垣間見られる極めて貴重なドキュメンタリーです。
◆株式会社アジアンドキュメンタリーズ 代表取締役社長 兼 編集責任者◆
2018年8月に動画配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」を立ち上げて以来、 ドキュメンタリー映画のキュレーターとして、 独自の視点でアジアの社会問題に鋭く斬り込む作品を日本に配信。 ドキュメンタリー作家としては、映文連アワードグランプリ、 ギャラクシー賞などの受賞実績がある。