原題:THE LAST YEAR OF DARKNESS/撮影地:中国/製作国:中国、アメリカ
監督:ベン・ムリンコソン
中国・成都のクラブ「ファンキータウン」に集う若者たちは、 どこか破滅的で切ない影を帯びている。ドラァグ・クイーンとして喝采を浴びる少年、 困窮生活を続けながらも音楽に没頭するDJたち、プレッシャーから逃れてきた音楽家……。 現実社会とネット空間、恋愛とセクシャリティ、快楽と苦悩の間を彷徨い、 ときに自分を見失ってしまう。家族や世間との距離感がつかめない者たちは、 闇と光が溶け合うクラブで自分の存在を確かめる。当たり前にある日常の裏で、 もがき苦しむ若者たちの心の迷いと苦悩が映像を通して伝わってくる。 現代の人間模様を追った群像ドキュメンタリーだ。
鑑賞日:4月25日
時間:19時
年制作:2023
作品時間:90分
少子化が加速する中国で、原因の一つに挙げられるのが結婚観をはじめとした“合理性の追求”です。 合理性を求めるあまり「失敗しない」「勝ち組の」結果にこだわり、 人間本来の感性や感情が失われているとの指摘もあります。急速な発展に伴う熾烈な競争、 格差社会など独特の社会事情が、若者に喪失感をもたらしました。 そして経済がグローバル化する中で居場所が家族から離れ、欲望のままに進んでゆく若者たちもいます。 世界の歴史上、類を見ないほど短期間で発展した中国経済の陰で、さまざまな歪みが生まれているのです。
◆株式会社アジアンドキュメンタリーズ 代表取締役社長 兼 編集責任者◆
2018年8月に動画配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」を立ち上げて以来、 ドキュメンタリー映画のキュレーターとして、 独自の視点でアジアの社会問題に鋭く斬り込む作品を日本に配信。 ドキュメンタリー作家としては、映文連アワードグランプリ、 ギャラクシー賞などの受賞実績がある。
光と闇が交差する、成都の夜
クラブに集う迷える魂たち
音楽と快楽、その先の孤独