フライングハンズ

撮影地:パキスタン/製作国:スペイン

監督:パウラ・イグレシアス、マルタ・ゴメス

カシミール北部、バルティスタンの少女ナルジスは、生後5カ月で両側重度難聴と診断された。パキスタンでは、ろう児は名前をつけてもらえず、財産は分け与えられず、不潔だと言われ、教育も受けさせてもらえない。母親のアニカは娘が5歳の時、1400キロ離れたカラチにろう学校を見つけた。手話で会話する生徒たちの生き生きとした顔を見て、アニカはナルジスを入学させた。アニカは夫の協力を得て、バルティスタンのろう児のための教育支援施設を設立。ろう児の親を訪ね、入学を勧める。金銭的な負担やろう者への偏見もあって親は入学に消極的だ。それでもアニカは地道に活動を続ける。教育が、ろう児の未来に灯りを灯してゆく。

鑑賞日:11月29日

時間:15時

制作年:2023

作品時間:78分

予告編

リソースの不足と理解不足が招く、障害児教育の停滞

パキスタンは憲法で5~16歳の無償義務教育を保障していますが、実際には2000万人を超える不就学児童を抱え、特に障害児は教育の場から取り残されています。最大の課題はリソースの絶対的な不足です。予算不足に加え、専門教育を受けた教員や適切な施設・機材が極めて乏しく、農村部や女子は地理的・文化的要因からさらに通学が困難な状況にあります。また、試験結果次第で留年となる厳しい評価制度は、十分な個別支援を受けられない障害児にとっては高い障壁。自閉症等の発達障害に対する保護者の理解不足や、コロナ禍の遠隔教育が学習機会を奪った点も深刻な問題です。こうした経済的困窮や制度的欠陥に加え、マイノリティへの差別といった多層的な社会構造の脆弱性もあり、障害児の教育機会は著しく制限されています。

フライングハンズ 伴野智

ファシリテーター

伴野智

◆株式会社アジアンドキュメンタリーズ 代表取締役社長 兼 編集責任者◆

2018年8月に動画配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」を立ち上げて以来、 ドキュメンタリー映画のキュレーターとして、 独自の視点でアジアの社会問題に鋭く斬り込む作品を日本に配信。 ドキュメンタリー作家としては、映文連アワードグランプリ、 ギャラクシー賞などの受賞実績がある。

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