原題:Dicing with Death: India: The Himalayan Tightrope Walkersr
撮影地:インド/製作国:フランス
監督:フレデリック・エルホルガ、アントナン・マルセル
危険を冒し、車を走らせる〝ヒマラヤの綱渡り師〟の存在は、 世界最高峰に腰を据える山村にとって唯一のライフラインだ。 空に届きそうな道の果てにある集落での生活は、雲に近付くほど厳しくなる。 広大で危険なヒマラヤ山脈で生き残るには、常に謙虚さが大事だと人々はいう。 標高3600メートル以上の孤立した村、カザへの520キロの山道は、忍耐と分別だけが頼りだ。 決して誰もが行きたがらない苛酷な道のりを、平常心で乗り越えられる配達トラックのドライバーは、 12年間、実質たった一人だけなのだ。一方、 今でも車で到達するのはほぼ不可能といわれる村に4か月ぶりに帰郷する家族の旅路。 断崖絶壁で悪戦苦闘しながら取材班は彼らに同行した。
鑑賞日:11月28日
時間:19時
制作年:2018
作品時間:52分
インド領のヒマラヤ最奥地の集落は、今も人類が近寄りがたい高地にあって、 その旅路には想像を絶する危険と苛酷さが伴います。 取材した道もまた、10年前に爆薬を使って開拓され、重労働の末にようやく完成した唯一の道です。 ドライバーは落石が当たらないようひたすら祈り、 そして車幅ギリギリを走行する卓越したドライブテクニックで切り抜けるしかありません。 しかし、開通以前は、徒歩で5〜6日かけて移動するしか方法はありませんでした。 道が開けたことで、村の暮らしや意識に大きな変化がもたらされました。 土地を耕し、穀物を育てるしかなかった村に電気が通り、出稼ぎに出る若者も増えたといいます。 閉ざされた秘境の村への道が、人々の幸せにつながっていることを願いたい。
◆株式会社アジアンドキュメンタリーズ 代表取締役社長 兼 編集責任者◆
2018年8月に動画配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」を立ち上げて以来、 ドキュメンタリー映画のキュレーターとして、 独自の視点でアジアの社会問題に鋭く斬り込む作品を日本に配信。 ドキュメンタリー作家としては、映文連アワードグランプリ、 ギャラクシー賞などの受賞実績がある。
命がけの道が、村の命をつなぐ。
ヒマラヤ孤村への520キロ、勇気と忍耐の旅。
断崖絶壁を越え、家族は帰郷の希望を胸に。