原題:BLOOD BROTHER/撮影地:インド・アメリカ/製作国:インド・アメリカ
監督:スティーブ・フーバー
なぜ、そこまで献身的になれるのか。ドキュメンタリー映画作家のスティーブは、彼の親友ロッキーの決断に戸惑っていた。 ロッキーは、アメリカでの暮らしをすべて捨て、インドのエイズ孤児院で暮らすという。 カメラを手に、インド・チェンナイへ向かったスティーブは、そこでロッキーの思いを知る。 孤児院では、エイズ・HIVウイルスに感染した子どもたちが、 エイズ治療・難病支援のため施設で働く彼を “ロッキー・アナ(兄ちゃん)”と親しみを込めて呼んでいた。 子どもたちにとって、ロッキー・アナは、常に頼るべき存在だった。 そしてスティーブの予想に反して驚かされたのは、死と向き合う子どもたちが底抜けに明るく、 生きる喜びにあふれていたことだ。ロッキーにとっても、 自分を必要としてくれるエイズ孤児たちの存在は、かけがえのないものだったのだ。
鑑賞日:9月26日
時間:19時
制作年:2013
作品時間:92分
アルコール依存症の母と、暴力をふるう母の交際相手の男のもとで育ち、発達障害児とされてきたロッキーは、 幼少のころから常に孤独でした。父親に引き取られた後も、家庭に馴染めず、高校在学中に家を飛び出した彼は、 あたたかい家族の絆を知らないまま、青春時代を過ごしました。なぜ、ロッキーは、縁もゆかりもないインドへ渡り、 死と隣り合わせのエイズ孤児たちのために、すべてを投げうつ覚悟ができるのでしょうか。 それはロッキー自身が、孤児院にいる子どもたちから大切なものを得ていたからなのです。 孤独の悲しみの深さを知っているからこそ、分かち合える思いがあったのです。
WHOによると、世界全体で、0~14歳の子どもたちの約12 万人がHIVに感染し、 子どものエイズ関連死は世界で7万6,000人にもなります。 世界のHIV陽性患者数は、約4,000万人。東部・南部アフリカが最も多い陽性者を抱えており、 東欧・中央アジアなど一部の地域でも、新規感染者の増加が続いています。
◆株式会社アジアンドキュメンタリーズ 代表取締役社長 兼 編集責任者◆
2018年8月に動画配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」を立ち上げて以来、 ドキュメンタリー映画のキュレーターとして、 独自の視点でアジアの社会問題に鋭く斬り込む作品を日本に配信。 ドキュメンタリー作家としては、映文連アワードグランプリ、 ギャラクシー賞などの受賞実績がある。
孤児たちに寄り添う、ロッキーの選択。
病と共に生きる子どもたちのまぶしい笑顔。
友情が導いた、命に寄り添う旅路。