アスワン ー餌食にされた死者ー

原題:ASWANG /撮影地:フィリピン/製作国:フィリピン

監督:アリックス・アイン・アルンパク

フィリピンの民間伝承に登場する妖怪が、今、都市の闇に現れ、人々を恐怖のどん底に陥れている。 「この街が築かれた時、化け物が現れた。それがアスワン。 姿を変えながら、人々を捕食する」という。 アスワンの餌食にされた人間たちは、毎夜路上に冷たく横たわるのだ。 2016年に就任したドゥテルテ大統領は、麻薬患者や売人をその場で射殺する権利を警察に与え、 超法規的殺人の急増でフィリピンの路上には死体があふれた。 思わず目を覆いたくなる、殺戮の街の実態に、果敢にカメラを向けた衝撃のドキュメンタリー映画。

鑑賞日:6月27日

時間:19時

制作年:2019

作品時間:85分

予告編

軽視される生命、悪化するフィリピンの人権問題

ドゥテルテ大統領による「麻薬戦争」で、フィリピンでは2年間で2万人以上の男性、 女性、子どもが殺されたと言われています。 20年前から葬儀費用の支援を行ってきたバクララン教会の幹部は、「2016年から状況は一変し、 これまで週に1人か2人だった葬儀が、ほぼ毎日3人から5人へと増えていった」と語り、 殺害される人々の増加に戸惑いを隠しきれません。さらに、警察官による殺害がまかり通る中、 活動家やジャーナリスト、弁護士、教会幹部、労組幹部らは、 人権活動や反政府的な発言のため、当局から攻撃や圧力を受けています。 実際、大手の放送局が営業停止に追い込まれたこともありました。 そして2020年7月3日には、反テロ法が成立したことから、 反政権派の人々が国の敵対者とみなされ、弾圧される懸念も指摘されています。

アスワン 伴野智

ファシリテーター

伴野智

◆株式会社アジアンドキュメンタリーズ 代表取締役社長 兼 編集責任者◆

2018年8月に動画配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」を立ち上げて以来、 ドキュメンタリー映画のキュレーターとして、 独自の視点でアジアの社会問題に鋭く斬り込む作品を日本に配信。 ドキュメンタリー作家としては、映文連アワードグランプリ、 ギャラクシー賞などの受賞実績がある。

quote

銃声と死体。アスワンが支配する夜
夜の路上に横たわる、国家の犠牲者
闇の中で浮かぶ、正義と恐怖の輪郭

アスワン アスワン